永全不動のもう一派9 (T:123箱OVA・TV一期・二期 M:オリキャラ J:邪道?)



**** こんな人が見てた。 ****


 実在を証明できない世界がある。

 『はじまる前の世界』『終わったあとの世界』、『全ての世界の外側』、そして『アルハザード』。

 無いとも言われ、在るとも言われ、混沌とも言われ、そして楽園とも言われている。

 だがもしかしたら限りなく虚構に近いその世界は、行きがたい場所というだけの、ごくごく平凡な世界なのかもしれない。


 プレシア、アリシア親子はとある建物の一室にいた。
 その建物と周辺環境は我々の世界で言う高原のロッジに近い。
 ここへ来て日の浅い親子の当面の住まいである。

 親子二人では余りあるソファーでくつろぎ、時たま甘えてアリシアがプレシアにじゃれ付きながら、二人して情報端末(家具調テレビという古代遺産らしい)を眺めていた。


《え〜、第一回戦がすでに始まりましたが、解説の真雪さん?》

《高町兄が壊れているあたりから雲行きが怪しいとは思ってたけど、祭りが始まっちゃったね・・・》

プレシア「――?」

 ブラウン管に映る対戦。そこで拳を構える少女にプレシアは首をかしげた。

 『あの変な子だ。』

 という言葉が真っ先に浮かんだ。

 自分がここへ来るまでに起こした騒動、PT事件と言われるその渦中で、

和香菜(回想)「あ〜、あなたもジュエルシード探してるんだよね?
          私立海鳴中央の校舎にあったっぽいよ?」
フェイト(回想)「え? あ・・・の、どうして、教えてくれるの・・・?」
和香菜(回想)「ぇ、そういえばなんでだろ。え〜っと・・・
          モノって欲しい人が持ってるのが一番いいかなーとか、そんなかんじ?」
フェイト(回想)「???」

 山の中で出会った第一村人よろしく、情報提供しては自分の仕事(樹木の手入れらしい)に戻って行った変な魔道師。
 フェイトと管理局(なのは)との戦闘時も別段介入しようともしないで、

和香菜(回想)「お〜、二人ともがんばれ〜」

 声援を送りつつせっせと戦闘区域周辺のゴミ拾いをしていた。
 一応デバイスも持っていたはずだが、魔法を使ったところは見ていないのでホントに魔道師なのか、かなり疑問だったりする。


アリシア「どうしたの?お母さん?」

 アリシアが首をかしげたままのプレシアの顔を覗き込んだ。
 プレシアは家具調テレビに映っている対戦中の二人の名前のテロップを指差す。

プレシア「この伊勢浦ってもしかして・・・・って思っていたのよ」

 その苗字は最近知った。

 現在わりとご近所に住んでいる魔道師のものと同じだった。



**** 赤星の受難? ****


 ――見事だ。心躍る戦いだったぞ。
    仕合う前に言われなくとも、本気で打ち込んでいただろう――

 思えば最近道場で非常勤の講師を始めた剣の騎士との試合に負けて、自信を失いかけていた。
 初心(?)に帰ってモーニングスターを手にした頃、ゲートボール仲間の女の子に見つかった。
 さわやかおにいさんで通している赤星にとって得意武器のモーニングスターは知られては成らないヒトに笑われてしまうギャグ系武器だった。ハリセンと同等くらいの。
 ゲートボール仲間の子にも多分に漏れず笑われた。

 だがそれは、決して嘲笑などではなかった。
 心の底から気を許してくれている、無垢な笑顔。

 ――モルゲンシュテルンかー♪
    あんたもそー言う武器使うのかー。・・・ですか。
    こっちの世界は剣とか銃ばっかだと思って、ました。 ――

 よく分からない事もちょっと言っていたけれど、その子は嬉しそうに、でもそれが照れくさいのかがんばって「目上のひと用言葉」を使いながら話しかけてくれていた。
 そのあと、かなり難易度の高い技も教えてくれた。
 打撃系の武器使いとしては最初の仲間だったかもしれない
 その子の笑顔が赤星の迷いを捨てさせた。

 そうだ、マイナーな武器で何が悪い!
 ガンダムハンマーが大好きだった子供の頃を思い出せ!
 ビミョーに斜め上に方向性がずれている気もするが、それはそれっ!
 そんなことは手にする勝利に比べれば大したことはない!!
 たとえなのちゃんの憧れのお兄さんだった頃は今はもうお星様でも!
 永遠に出番が無いよりずっといい!!

 迷いを捨てろ! 奮起せよ! 赤星勇吾!
 今こそ己の最強スタイルを惜しみなく披露してやろうではないか!!


赤星「バルバルバルバルバルゥゥゥゥ!!」

和香菜「わーっ、赤星さんがバオーにーっ!」

赤星「バオー・スピニング・スマッシャー・フェノメノン!!(適当)」

 一つ、二つ、三つ、

 乱気流と共にモーニングスターが迫る。

 スウェー、ダッキング、バックステップ、

 和香菜は、回避に徹している。

 付かず離れず。

 晶と戦ったときと同じ戦法だ。

 回避歩術『八雲』なのだが、それが今回は仇となった。

和香菜「え――?」

 迫り来るモーニングスターが、”伸びた”。

 比喩ではなくチェーンがジャラリと。

 バックステップで距離をとるには初速が足りな過ぎた。

 ガードに腕を割り込ませる。


赤星「ぱんやー!!!」


 800ヤードくらい飛びそうなトンデモナイショットだった。

 20年くらい前の漫画のように豪快に吹っ飛ぶ和香菜。

 ガードした左腕が、奇妙な所で曲がっている。

 折れた?

 そう判断した審判・真一郎が声を上げる。

真一郎「勝負あ――」

弓華「――まだ決まってないネ」

 判定を止めたのは現役バリバリの警防隊員。

和香菜「無事なんでまだ負けじゃないと思いますー
     危うく車田落ちするところでしたー」

 何とか着地した和香菜もそう言って……袖をまくって折れてしまったモノを出した。

 もちろん腕なんていう痛そうなものではない。

 白い樫の木の棒だった。

和香菜「ホントは護身道の棍みたいに使いたかったんだけど……もうダメっぽいなぁ。
     樫の木さん、おつかれさまー。」

 言っている事は相変わらず天然だが、袖からこんなものが出てくるということは・・・つまりは暗器の要領で隠し持っていたらしい。

 一方赤星の方はモーニングスターをゆっくりとコンパクトに回して様子を伺っている。

 ビジュアル的にはもはやヤンキーとか暴走族みたいだ。

 ・・・モーニングスターを装備するファンタジーなヤンキーなんていて欲しくないが。

 棒を捨て、構え直した和香菜は、赤星の鉄球とグリップとを繋ぐチェーンの輪っかの数を数える。

 ――6つだ。

 自分にぶち当たった瞬間はチェーンの輪が倍の12個ほどあったのだが。

 その疑問についての答えは・・・グリップ近くにあるあからさまに怪しい赤いボタンにあると見た。

和香菜「もしかしてチェーンがのびる機能付きの戦闘デバイス・・・だったり?」

忍「・・・実は頼まれてサクッと作ったんだよねー・・・orz」

 武器製造元はビミョーにバツが悪そうだ。

恭也「月村テクノロジーは少し方向性を間違えているような・・・?」

士郎「そうだな。デバイス音声が無いのは父さんちょっと寂しいぞ?」

恭也「こっちの親父は・・・とらハ3の方か・・・」

 シュールな事にあの世へ旅立ってしまったヒトはあたまの上の天使の輪で判別可能だった。

 あの世へ逝ったとらハ版士郎と生きているなのは版士郎が和気藹々と酒盛りをしつつ観戦している。桃子さんに至ってはダンナが二人に増えてご満悦のようだ。

 次元の壁は曖昧に成っても生死の壁は打ち破れないのか、幸い(?)士郎はクロノのように融合してはいない。

 同じ人が二人いる。

 周囲のヒトが正気ならかなり混乱する事態のハズだが、この時空災害のせいで多少ラリっているのか、季節柄脳内春満開なのか、別段不思議に思っていないっぽい。のんきにお祭りを楽しんでいる。

 そんな士郎さんの事は置いといて・・・

 トモミは「?」と首をかしげていた。

トモミ「戦闘デバイス・・・?」

 気に成ったのは和香菜の言い回しと、それを武器にしている赤星の気配だった。

トモミ「デバイスって、マホーのアレ?」

 その手の話に詳しそうな最近のご近所さん、クロノに話題を振っていた。

 聞かれたクロノはそれで何かピンと来るものがあったのか、

クロノ「ちょっと待て」

 探索術式に別途の式を付加して探りなおして・・・言った。

クロノ「どうやら当たらずとも遠からずみたいだ。
    彼から擬似的なリンカーコアが動作しているような反応が見つかったけど・・・う〜ん・・・」

 説明しつつ、その説明で自分自身が納得行かないのか、考え込みだした。

クロノ「僕の認識だけで結論を出すべきでは無いのかも知れない。
    他方面の専門家の見解を聞きたい。
    たしかこの世界には退魔という神秘テクノロジーもあったはずだ」

トモミ「私的にはなんとなく憑き物系の霊障っぽい感じもするようなしないような・・・
    って感じだけど、薫さんどう?」

薫「クロノ君の言っている事はよう分からん所もありますが・・・
  赤星君の奇妙な行動は霊障に近からず遠からず、といった印象ですね。
  何かがついてる気配は私も感じてます」


 お祭りバトルと同時進行しているこの事件(?)

 真っ先に当事者側に立ったのが魔法被害なのか霊障なのか分からない赤星と、魔法も退魔もちょっとだけ使える和香菜だったのは偶然なのか運命なのか。

 再びモーニングスターの連撃が迫り、和香菜は先ほどよりも間合いを離してかわしている。


和香菜「霊障にも、魔法にも、どっちにも似てるんだよねーっ?!
     もしかして、『両方』ーっ?」


 事態を把握しようとしている三人に聞こえるように、少し叫ぶような声色で問いかけてきた。

 両方・・・?
 魔道師と退魔師がそれぞれの分野で「当たらずとも遠からず」と判断したこの事態を、和香菜はそう解釈したようだ。
 薫もクロノも否定しない。
 薫は魔法のことは分からないし、クロノも退魔のことは分からない。
 むしろ「もしかしたら、そうなのかも?」と少し納得している。

クロノ「霊障というのは死者が何らかの害を与えるもの、と理解して良いだろうか?」

薫「大抵は単一ないし複数の死者の念が霊障の原因ですが・・・それだけじゃないんです。
  『死者』ではなく、『実体が無いもの』と考えるべきですね。
  こちらからも質問させてもらいます。
  『実体が無いもの』が魔法という技を使える可能性はありますか?」

クロノ「自己や擬似人格を動作させるモノはいくつかあるが・・・
    だがそれには情報を保存して動作させる装置や術者が必要だ。
    僕の知る限りでの話ではあるが、そんな事例は見当たらない」

 事態を把握するためにも専門家たちが意見を交換しだしている――のだが、和香菜に限っては悠長にお話している場合ではなかった。


和香菜「様子を探るだけじゃわからないみたいだし――」

 和香菜は袖の隠しポケットから取り出す。
 暗器のように仕舞われていたそれは、刃物でも鈍器でもなかった。

和香菜「とりあえず、どっちのダメージも与えてみるー!」

 取り出した物は宝石。
 失われた次元世界・和香菜の出身世界のデバイス。

和香菜「アガートラーム!!」

AL《BOOT UP》

 男性を思わせる起動音声。

 一瞬の光芒で水晶の勾玉から変化したそれは、以前なのはのジュエルシード探しを手伝った杖とは少し形が違った。

 鉄パイプ状ではあるが、構えて手前側の先端は平たい板状に成っている。その形状は、



AL《Byonet Foam,》

 ――銃剣。

 刀よりも近代で活躍しつつも、現代では一線から退いた武器。
 日本刀や剣道から比べればマイナーな感は否めないが武道としても軍隊格闘としても現役で存続していて、一般人による本物の所持は一切禁じられている明確な『兵装』。

 ・・・なのだが、魔力光の剣先は法律の守備範囲外だったらしい。

和香菜「非殺傷設定、いっくよー!」

AL《Yes ma'am》

 銃剣化したデバイスを槍のように構える。


 今まで回避一辺倒だった和香菜が自ら間合いを詰めに出た。

 赤星にとってもそれは望むところだ。

 和香菜の武器は剣つきとはいえ銃だ。

 遠距離から射撃を受けるよりは都合がいい。

 距離を取らせる前に仕留めるべきだと判断し、モーニングスターを加速させる。

 かまわず和香菜も突っ込む。

 空を裂く音が二つ。

 一つはモーニングスター、一つは銃剣。


 衝撃


 鉄球が捕らえた部分を見て、赤星はハッとした。

赤星「――ストック?!」

 和香菜は銃剣を棒術のように反転させて、ストック部分を打ち出していた。

 その打撃は有効な攻撃手段ではあるのだが、剣先部分での刺突に比べ、決定打に成りにくい。

 鈍器としての破壊力はモーニングスターに比べればはるかに劣る。

 そんな打撃を、なぜか和香菜は繰り出していた。


 一方、赤星が放ったモーニングスターは鉄球を鎖でつないだ構造だ。(フレイルと呼んだほうがいいかもしれない)

 鎖で繋がれた形は刀剣などで受け止める事が難しく、それを最大現に活かす攻撃パーツは重い鉄球。

 打撃武器の中でも飛び道具にわりと近い「攻撃を当てやすく防御されにくい」性能を持っている。

 主な闘法はフルスイングによる一撃必倒。仮にガード出来てもその上から叩き潰す。

 銃剣を含む刃物では相手にしづらい手合いであり、生半可な事で攻撃を受け止める事は出来ない。

 だがもしも、赤星が放ったその鉄球を『受け止める』のではなく、

 和香菜が、剣先よりも大きいストック部分の特徴を活かして、

 鉄球を打ち返してしまおうという、『そういう迎撃技を使ったなら』――


和香菜「ぱんやー!」


 ストックがジャストミートした鉄球はムチャクチャな方向へ打ち返され、赤星の腕から遠ざかる。

 和香菜の銃剣がサイドグリップを中心にくるりと回る。

 剣先が赤星の方向へ向く。

 勢いを殺さず突き進んだ和香菜の疾走が、銃剣の剣先と共に迫る!!

和香菜「祓えーっ!!」

AL《Fire a Blank !!》






 衝撃が赤星の胸板から背中へと抜けた。

真一郎「勝負あり!! ・・・っていうか、突きと同時にゼロ距離射撃しなかった?
      赤星君大丈夫かー?」

赤星「きゅ〜・・・」

クロノ「デバイスが撃った空砲に物理ダメージは無いと思うが・・・気絶してるな」

薫「衝撃で脳が縦に揺れたからでしょう。
  和香菜に退魔術も打ち込まれたから、という理由もありそうだけど」

真一郎「傷は無いし、憑き物も取れたみたいだし、コレで目を覚ましたときにバルバル言わな
     ければ赤星くんの人格面も一件落着かな?」

 審判の真一郎を含む退魔師と、魔導師たちは気付いた。
 この決着と共に赤星から何か悪いモノが抜け落ちたことに。
 そして、なにかに憑かれてる人はまだもう少しいるらしい、という気配に。

 ついでに未来の戦技教官殿は「私がやる場合は打撃戦に成る前に相手の動きを封じないとダメかなー」と戦況を考察していたとかいないとか。


・・・つづく!


**** おまけ。番外編・メタルギア恭也 ****


恭也「ときに和香菜。なんなんだ今回のあの立ち絵は。ナマイキナ」

和香菜「ちょ・・・ちょろいもんだぜの構えじゃないよ?
     銃剣格闘なんだよー?」

恭也「そんな事はどうでもいい。
    問題は「はいてる」か「はいてない」かだ。その辺どうなんだワカナー!」

士郎「待つんだスネーク。
    はいてるトカはいてないトカよりも、
    見えそうで見えない事こそがロマンなんだ」

恭也「そうは言うがな大佐、これは解明せねば命に関わる一大事なんだ・・・」

和香菜「命に?!Σ( ̄△ ̄;;
     ぱんつはいてないと死んじゃうの???」

恭也「死ぬとか生きるとかじゃなーい!!ヽ(`Д´)ノ
    はいてるのか? はいてないのか?! 答えろワカナァァァァッ!!」←テンション高っ。

和香菜「だ……大丈夫だよ? ちゃんとはいてるよ??」←ビクビク

恭也「ノアァァァァァ! 信用できーん!! ヽ(`Д´)ノ」

和香菜「えーと、それじゃあ一体、どうすれば・・・・?」←なんかテンパりだしてる。

恭也「ほ〜れ俺を信用させてみ〜ぃ?」

和香菜「えぅぅ・・・、じゃ、じゃあ、ぱんつ見たら信用して・・・くれる?」←かなりテンパってる。

恭也「それなら信用するだろうな、たぶん。
   ささ、安全のためにも康介さん御用達さざなみ特別ルーム(?!)へ・・・」←確信犯。

美由希「和香菜ちゃんだまされてるっ、メチャメチャだまされてるからっ!!
     ていうか恭ちゃんセーヨクをもてあましすぎっ!
     命に関わるって、新しい命が出来るかも?って関わりかたでしょ!」


 アホすぎる・・・orz